تسجيل الدخول「それがな、ついさっきの話なんだが。佐山要が何者かに腹部を刺されて緊急搬送されたらしい。幸い命に別状はなかったが複数回刺された形跡がったそうだ」 「よく複数回刺されて生きていましたね。普通は死にませんか?」 「発見が早く、すぐに緊急搬送されたのが功を奏したらしい。後数分見つかるのが遅かったら死んでしまっていたそうだぞ」 「でも、一体誰に刺されたんですかね?」 アイツの交友関係は知らないけど、そう簡単に人を刺せるような奴が多くいるとは思えない。 「それは調査中らしい。でも、何度も刺しているところからかなりの恨みを持った人物の犯行ではないかと警察は考えているそうだ」 「なるほど。まあ、僕にしたことと同じ様な事をしていたのであれば恨みを買っていてもおかしくはないですね」 「そうだな。一応聞いておくが、お前じゃないよな?」 「そんなことしませんって。僕に何のメリットもないですし」 僕は確かに佐山に酷いことをされたけど、そこまで憎んでいるわけじゃない。 もっと言えば、あいつを刺して日向との幸せな生活を脅かすようなことをしたくないんだ。 「だよな。早く犯人が見つかると良いんだが」 「ですね。じゃあ、僕は先に帰っておきますね。日向に校門前で待ってもらってるので」 「それは早く行ってくれ。外は寒いからな」 「はい。それじゃあ、失礼します」 「ああ。気を付けて帰るんだぞ」 小雪さんにそう言われながら、僕は職員室を後にして校門前に向かう。 だが、校門前についても日向の姿は見当たらない。 あの子が僕に何も言わずに帰ることは考えずらいので、まだ校内にいるのだろうか? 「……なんか嫌な予感がするな。佐山の件と言い物騒だし」 急いで下駄箱に向かい日向の靴があるのか確認する。 そこには日向の靴があった。 「つまりは、校内にいることは確定ってわけね」 とりあえず、生徒会室からここに来るまでのルートを探すことにする。 もしかしたら、何かの手がかりがあるかもしれない。 「クソ、こういう時に限ってもう消灯してるんだから」 スマホのライトを使って廊下を照らしながら、走り回る。 そこで、奇妙なものを見つける。 「……血痕? なんでこんなところに」 しかも、持続的に血痕が移動しておりまともに止血していないことが伺える。
時が流れるのはあっという間で、つい先ほどまでクリスマスパーティーに向けた書類仕事に励んでいたはずなのに明日にはそれが本番になる。 時間の流れは本当に早い。それだけ最近の生活が充実しているからなのか。 それとも、他に何かの要因があるのか。「ついに明日だね。湊くん」「だね。結構頑張ったから成功してくれると嬉しいな」「絶対成功するよ! みんなであんなに頑張ったんだもん。あとすることと言えば、当日の運営と生徒会長挨拶で湊くんが挨拶するくらいでしょ」「それが凄く緊張するんだけどね。明日の午前は終業式があって、午後からはクリスマスパーティー。予定がてんこ盛りで疲れちゃうよ」 少し前までは暇な学生生活を送っていたのに、ここ一ヶ月は目が回るくらいに忙しい。思えば、日向と付き合い始めてからずっとこんな風に忙しいような気がする。 それはありがたい事なんだけど。「明日は家に帰ったらゆっくりしよ。クリスマスイブとクリスマスは旅行なんだからさ」「そうだね。温泉旅行なんて何年かぶりだから久しぶりに心躍るな~」「わかる。ま、温泉旅行を楽しむためにもパーティーの成功はさせないと気分的に楽しめないよね」「ああ。といっても、今日はもうやることが無いから家に帰るくらいしかすることが無いんだけどね」 既に、窓の外は暗くなっていて最終下校時間が迫ってきていて学校の中からはあまり人の気配を感じない。 ここまでくると少し不気味に感じてしまう。「いったん帰ろうか。夕飯の支度もしたいしさ」「うん! じゃあ帰ろっか」「僕は生徒会室の鍵を職員室に返してくるから、先に校門あたりで待っててくれ。大丈夫だとは思うけど、校門の外に出ないでね。変な人がいるかもだから」「わかってるよ! じゃあ、先に行ってるから早く来てね」「うん。あんまり待たせないようにするよ」 一旦は日向と別れて僕は職員室に向かう。 そこで小雪さんに鍵を渡して帰ろうとするのだが、呼び止められてしまった。「湊、クリスマスパーティーの準備の方はどうだ?」「順調ですね。というか、望月先生には毎日報告してるじゃないですか」「それはそうだが、やっぱり気になる物は気になるんだよ。最近妙な話も聞くわけだからな」「妙な話? どんな話ですか?」「ああ、それがな……」【日向視点】 最近は湊くんとずっと一緒に居れて楽しい。湊く
「なあ、お前はなんでそんなに普通の顔をしてられるんだよ。この書類仕事疲れねぇの?」「疲れはするけど。そこまでじゃないよ。僕は元々こういう仕事は嫌いじゃないしね」「そりゃ、知ってるけどよ。にしてもだろ。その机に積まれてる書類の山的にさ」「まあね。クリスマスパーティーの運営業務が初仕事になるだなんて思わなかったよ」 今、僕達生徒会が担当しているのは十二月の末に行われるクリスマスパーティーの運営に関する仕事をしていた。 場所や時間は既に決まっているので、パーティー時に行う催しだったりケータリングの手配。その他もろもろと言った感じだ。「隆介先輩。弱音を吐いていても仕事は終わらないんですから、頑張りましょ」「後輩にこう言われたらやらざる負えないな。うし、頑張るか」「その調子だぞ~隆介。あと、これよろしくな」「……おい。お前俺がやる気を出した途端に仕事を押し付けるなよ。まあ、やるけどさ」 なんやかんや文句を言いながらも、隆介はちゃんと書類仕事をこなしてくれる。 その様子を見ながら、僕も自分の書類を進めていく。 カリカリと書類に何かを書き込む音だけが、生徒会室に響いていた。 こういうのも案外悪くないな。勉強とは違った感じで。「そう言えばですけど、日向さんはどうしたんですか? 今日はこないんですか?」「ああ、日向ならこゆ……望月先生に呼ばれてるんだ。もうそろそろ帰って来るはずだけど」「そりゃあ、珍しいな。日向さんの事だから怒られてるってことは無いだろうけどよ」「僕も詳しく聞いたわけじゃないからわからないけど。多分、ほのかが流した噂の件で呼び出されてるんじゃないか?」「……ああ、なるほど」 隆介は苦い顔をしながら、苦笑していた。 彼女を職員室まで連れて行った際に相当暴れられたらしいので、苦い思い出しかないのだろう。 その節は本当に迷惑をかけて申し訳ないと思っている。「夜霧先輩、心配なら見に行ってもいいんですよ?」「う~ん、どこにいるかわからない状態ならまだしも。場所はわかってるし、望月先生の所にいるなら安心だしね」「つっても、心配なもんは心配だろ?」「それはまあな。心配じゃないと言ったら嘘になるけど。会長の業務を放棄するわけにも行かないしね」 心配ではあるけど、僕には会長と言う立場がある、 二人を巻き込んだのが僕である以上、その
「今日は騒ぎを起こして本当にごめんなさい」「いいって。そんなに謝らなくても。僕は気にしてないしさ」 帰り道も日向は申し訳なさそうに頭を下げてくる。 僕は元気な顔をしている日向のことが好きだから、出来れば笑顔で居て欲しい。「それよりも、楽しい話をしよう。少し気が早いけど、クリスマスとかどこかに遊びに行かないか?」「クリスマス……うん! 最高に楽しそう」「でしょ? それに、付き合って最初のクリスマスだから盛大に何かやりたいね」「うんうん! どこかに旅行に行くってのはどうかな?」「いいな。日向は行きたいところとかある?」 僕としては、日向と一緒に居る事が出来ればどこだってかまわないんだけど。 でも、何でもいいって言う返答は帰って困らせてしまう可能性だってある。 そうなった場合は僕が何か提案をすることにしよう。「う~ん、ぱっと思いつくものはないけど。逆に湊くんはどこか行きたい場所とかってないのかな?」「僕は温泉旅行とかに行ってみたいけど。日向はどうかな?」「温泉旅行!? 凄く良いね!」「なら、とりあえずはそれでいこう。日向も他に行きたい場所があったら遠慮なく言ってくれ」 日向が行きたい場所が出来れば、二人でそこに行けばいいし、仮に出てこなかったら温泉旅行に行けばいい。 僕たちにはまだまだ時間がある。 ゆっくりと二人で色んな思い出を積み重ねて行けばいい。「もちろん。でも、正直に言っちゃうと湊くんと二人ならどこでもいいよ」「……僕もそう思っているけど、改めて言われると照れるね」 良かった。日向が笑ってくれてる。 やっぱり、日向はこんな風に笑っている方が可愛い。 可愛いというか、もはや尊い。「えへへ。湊くんは案外照れやすいよね。可愛い」「そういう日向だって照れやすい癖に」 精一杯の照れ隠しを言いながら、僕たちは笑顔で帰路を辿る。 時刻は既に午後六時を回っていて日が沈んでいた。 夕陽が日向の顔を照らしていて、すごく綺麗で美しくて。「……なぁナチュラルに俺の存在を忘れてないか?」「「……あ」」 後ろから隆介に声をかけられてはっとする。 そう言えば、今日は三人で帰っていたんだった。 日向と話すのに夢中ですっかり忘れてしまっていた。 すまない隆介。「まあ、お前らが仲いいのは知ってるしさ。別にいいんだけどよ。俺は彼女が
「何があったの? 秋奈さん」 尋常じゃない様子の秋奈さんに水無月先輩も少し面食らっている様子だった。 僕自身も少し動揺しているけど、その動揺を見せるわけにはいかない。 曲がりなりにも今の僕は会長なのだから。「それが、少し揉め事が起きているというか……ですね」「揉め事? 珍しいね。この学校で揉め事なんて。それで? 何があったん?」「そのぉ……日向さんが」「……なんでや」 日向が誰かと揉め事を起こすとは考えにくいけど、この様子からして嘘ではないと思う。何より、ここで秋奈さんが嘘をつく理由が全くない。「えっと、聞いた話なんですけど。どうやら、一年の子が夜霧先輩をバカにしてたらしくて」「……」 なるほど。それなら、日向が怒るのも納得はできる。 まあ、僕なんかのために揉め事を起こしたくて欲しくはないんだけど。 怒ってくれたこと自体は少し嬉しい。「なので、ちょっと来ていただけると」「わかったよ。そういう事なので水無月先輩。ちょっと行ってきます」「おう。行ってらっしゃい。会長の初仕事がんばってね!」「ありがとうございます。じゃあ、秋奈さん案内お願いしてもいいかな?」「勿論です。こっちに来てください」 こうして僕は、気持ちの整理をつける暇もなく問題の解決に向かう事になった。 ◇「もう一回言って見なさいよ!」「だから、何度だって言ってやるさ。神凪会長のおこぼれで会長になった浮気男ってな。あんなのに会長が務まるわけないのに」「……なんですって?」「はいはい。そこまで。二人とも一旦落ち着こうか」 ヒートアップしている二人を一旦離れさせる。 日向は秋奈さんに任せて、僕は日向と言いあっていた男子生徒の話を聞く。「それで? なんでこんな騒ぎになっているんだい?」「もとはお前のせいだろ! お前なんかが会長になったから」「それを僕に言われてもね。会長選挙に出たのは僕の意志だけど、当選したのは学校の総意だ」 そこの責任を僕に問われても、どうしようもないじゃないか。 この子は何をそんなに怒っているんだ。 未だに僕のことを睨みつけながら、男子生徒は悪態をつく。 金色に染めた短髪に鋭い目つき。僕と同じくらいの身長で筋骨隆々と言うわけでもない。この子からはスポーツをしているような感じはしない。「それが納得いかねぇって言ってんだよ。なんでお
「いきなり私のことを呼び出してどうしたの!? もしかして、あの泥棒猫から受けた洗脳が解けたの?」「先に言っておくけど、僕は洗脳なんかされていない。もっと言うと、僕はこうして君と会う事にそれまで乗り気じゃない」「なんで!? 湊は私の彼氏じゃん」「もう別れている。そんな事よりも本題に進もうか」 生徒会室にわざわざほのかを呼び出したのは、ただお話をしたいだけなんて理由じゃない。 もちろん、いま流れている日向の噂について問いただしたかったからだ。「まず、ほのかは僕の彼女。日向の悪い噂を流しているって言うのは本当か?」「噂じゃないもん! 私はただ事実を言っただけ。何も悪い事はしてない!」「なるほど。じゃあ、君が流した日向が他の男とホテル街を歩いていたって言う噂も本当だと?」「そうだよ! 私はちゃんとこの目で見たもん!」 どうやら、この子の目は腐りきっているらしい。 僕は心配性な日向に言われて、位置情報共有アプリを入れている。 日向からこちらの位置がわかるという事は、僕も彼女の位置がわかるという事。 言ってしまえば、彼女の位置情報を知っているからホテル街に行っているなんてことはありえないんだ。「それはありえない。日向はそんなことをするような子じゃないし。そもそもとして位置情報を共有しあっているんだから」「なっ!?」「だから、君が見たって言うのは確実に日向じゃない」「……」 黙り込んでも無駄だ。僕は既にほのかを許す気はないし、この現状を招いた彼女は絶対に罰を受けてもらう。「そう言うわけだ。まだ弁明はあるか?」「スマホを置いて行っていたのかもしれないなじゃない! 位置共有アプリなんていくらでも誤魔化しようがあるし」「なるほど。確かにそう言う線もあるかもしれないけど、ではなぜそんな噂を流した?」 わざわざ噂を流す必要などないのだ。その情報が仮に本当だとしたら、僕にこっそり言うだけでよかったのに。 彼女が浮気をするのなんて、まずありえない。 目の前にほのかと違って。「私はただ、湊を取り戻したくって……」「それは無理だ。そんなことをしてもなんの意味もない。僕は日向と別れるつもりはないのだから」「そんなのって……」 絶望をしたような顔でうなだれるほのか。果たして、彼女にそんなことをする資格はあるのだろうか? 少し前の僕であれば、今







